香港系アメリカ人の武道家であり映画スターとして知られるブルース・リーが、1970年代初頭に1つ目クロノグラフを頻繁に着用していた姿は、数々のプライベート写真で確認されています。その時計は、セイコー 5スポーツクロノRef. 6139-6010と考えられています。
ブルース・リー(Bruce Lee)と白人社会
1960年代、ブルース・リーは、アメリカで哲学を学びつつ道場経営を行っていました。1966年、アメリカの国際空手選手権大会にて、ブルース・リーが詠春拳の演武を行ったところ、その腕前がTVプロデューサーの目に止まります。これをきっかけにテレビドラマに出演、その後ハリウッドに進出していくこととなります。
当時は人種差別が色濃く残っていた時代。俳優として輝かしい活躍をイメージしますが、当初はその活躍に対して低いギャランティであった事や、自身が脚本を企画し主演を熱望したドラマにおいて主演を白人俳優に変更されてしまうなどの経験があり、ブルース・リーはキャリアの中で人種差別と戦いつづけた事が知られています。

スイス時計産業に挑んだセイコー
一方で、セイコーは強大な「スイス時計界」に挑み続け、精度や製造量で肩を並べるほどになり、1970年、ついには機械式時計の精度をはるかに上回るクオーツ腕時計の実用・量産化に成功し、時計史に大きな影響を与えたことで知られています。
特にセイコースピードタイマー6139シリーズは、1969年に誕生した最初期の自動巻きクロノグラフの一つであり、独自の機構はその後の自動巻きクロノグラフの発展に大きな影響を与えた時計です。

ブルース・リーが、自身と同じように白人の世界に挑んだセイコーの腕時計を着用していたことには、意味があるように思えてなりません。
